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医師に役立つ!わかりやすい税金教室

消費税増税が医療機関の経営を圧迫する理由(1)

消費税は、顧客から預かった消費税額から自分が負担した消費税額を差し引いて納税します。事業者にとっては自分の懐が痛まない税金だといえるでしょう。
参照:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/aramashi/pdf/002.pdf

ところが売上のなかに消費税非課税のものが混じると話は変わってきます。顧客から預かった消費税額を納付するという点は同じなのですが、自分が負担した消費税額については、「課税売上割合」分しか差し引くことができません。

たとえば自費収入が1,000万円、保険診療収入が9,000万円の診療所があったとします。
この診療所の課税売上割合は
1,000万円 / 1,000万円 + 9,000万円 = 10%
となります。

この診療所の場合、自院が仕入等に付随して負担した消費税額のうち10%しか控除することができません。したがって残りの90%部分については自院が負担しなければならなくなるというわけです。(保険診療収入と異なり、自費収入は消費税が課税されます)

上記参照先の「消費税の負担と納付の流れ」という説明図の中の「小売業者」にあてはめますと、この診療所は、仕入に係る消費税③の5,600円のうち10%しか控除することができません。したがって納付税額は④8,000円-③5,600円x10%=7,440円となってしまいます。説明図の「小売業者」とくらべて5,040円も余分の負担が発生してしまいました。

設備投資をした場合はもっと大変です

保険診療を行う医療機関は仕入に係る消費税の一部しか控除できていない、という仕組みについてご理解いただけましたでしょうか?

それだけでも十分大きな負担なのですが、さらにこの診療所が1億円の設備投資をした場合を考えてみます。

1億円の設備を購入する際には消費税が8%かかりますので800万円を加算して1億800万円を支払います。非課税売上がない事業者ですと、この消費税分の800万円は売上に係る消費税額から控除することができますので、実質的には自社の負担にはなりません。(控除しきれなかったらその分は還付してくれます)

ところがさきほど例にあげた診療所が同じ設備投資をした場合には、やはり課税売上割合に応じた分しか控除できませんので800万円x10%=80万円しか控除できず、残りの720万円は診療所の負担となってしまいます。

消費税非課税だと医療機関が損をするという矛盾

医療にまで消費税を課税するのはおかしい!という点については医師でなくとも誰もが同意すると思います。しかし、そのために医療機関の負担が増えてしまうというのはどう考えてもおかしいですよね。

この矛盾については、消費税導入時から不十分ではありますが一応の対策がなされています。その点については次回のコラムでご説明させていただきたいと思います。

酒井税理士事務所代表 酒井 勇(税理士登録 第102393号)

住所: 大阪市西区南堀江1-2-6 サムティ南堀江ビル8階
HP: http://www.sakai-tax.jp/

経歴

昭和44年11月29日生。大阪府堺市出身。神戸市外国語大学中国学科を卒業後、特殊鋼の専門商社に入社する。そこで香港現地法人立ち上げに関わった経験から中小企業の財務会計に興味を持ち税理士資格取得を志す。その後会計事務所勤務を経て平成20年4月に酒井税理士事務所を開業する。“税に関する情報をわかりやすい言葉でお伝えします!"をモットーに、情報を必要とする方に有益な情報を届けることに注力し、現在では多数メディアにも掲載され活躍されておられます。

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